- 昨今、細菌やウィルスを持つネズミから人に感染する病気が注目されています。
- ネズミを媒介して感染する病気としては古くはペストなどが挙げられます。これらの病気は医薬品の発達、衛生管理の概念が人々に行きわたった現代では人々の健康に大きな被害を起こすことはなくなりました。
- しかし、ネズミからの感染症がなくなったわけではありません。
- ここ数年で、厚生労働省や国立感染症研究所・感染症情報センター等により報告されているネズミによる感染症としては、病原性レプトスピラ、腎症候性出血熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、E型肝炎などがあります。
病原性レプトピセラ
ワイル病の病原体。ネズミに感染し、排泄物から経皮、経口で人に感染します。ワイル病の末期になると全身の血管の内側に炎症を起こし皮下出血します。最近になり東京・新宿の繁華街に住むドブネズミからこの細菌が見つかりました。
腎症候性出血熱
ハンタウイルスを持つネズミから人に感染する出血性腎疾患。1960年代に大阪梅田地区で流行したいわゆる「梅田奇病」は、このウイルス感染によるものであることが後に分かった。
リンパ球性脈絡髄膜炎
リンパ球性脈絡髄膜炎(LCM)ウイルスを持つネズミの尿から人に感染し、重症の場合には無菌性髄膜炎になります。時には致死的脳炎を引き起こす事もあります。厚生労働省の調査で全国の国際港で捕獲された外来種のネズミから見つかった。
E型肝炎ウイルス
E型肝炎ウイルス(HEV)が病原体である。ウイルス性の急性肝炎である。感染する動物はネズミ以外にも多くいますが、ネズミは人間と生活圏が重なっているので、ネズミからの感染が一番高いと言われています。また、国立感染症研究所の調査によると日本の5都県でサンプル採取したドブネズミの31%が感染を示す結果が出ています。
蚊を媒体として感染する病気としては熱帯地方でのマラリアなどが挙げられますが、日本では日本脳炎があげられます。1966年以後その発生が激減し、蚊からの感染症に対し危機意識が日本では薄れつつあります。
近年(2002年)のアメリカで死者263人を出したウエストナイル熱(脳炎)も蚊が原因です。世界的に経済が動いている現代、国境を越え多くの人々が往来をしています。本来、アフリカ及び中近東にしか存在しない感染源のある病気が、アメリカで流行するのを例にすると、世界各地域の蚊による感染症が、日本に流行する可能性はもはや否定出来ません。
厚生労働省や国立感染症研究所・感染症情報センター等により報告されている蚊による感染症としては、ウエストナイル(熱)脳炎やデング熱などがあります。
ウエストナイル熱(脳炎)
野鳥から蚊を媒体としてウィルスが人に感染し、発熱や脳炎を引き起こす。1994年アルジェリア、1996年ルーマニア、2002年アメリカにおいて流行しました。アメリカでは2003年にも感染例、死亡例が報告されています。
デング熱
蚊が媒介するウイルス性の熱性・発疹性疾患。2002年に台湾、2003年台湾。中国(広東省)で感染例が報告されています。
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