衛生害虫にも書きましたが、現代の環境問題から考えますと、むやみに薬剤を撒き散らす駆除方法は無くなる方向へ移行しております。今までのように問題が起きてから対処(治療)するのではなく、問題が起きる前(予防)に処置をしていく傾向に変わってきています。
その中で、今までのように低濃度の薬剤を多量散布する方法から、ゴキブリの生態を把握して問題箇所を集中的に処理する方法が多くなってきています。これからのゴキブリ対策は「駆除をするのではなく予防をする」ことです。
ゴキブリは人間が生まれる遥か昔の3億5000万年前の古世代地層より化石が発見されています。また、日本国内の山口県では2億3000年前の地層から翅の化石が見つかり非常に歴史の古い昆虫でもあります。ゴキブリの化石から比較しても形態が現存のものとあまり変わらないので、生きた化石昆虫ともいわれています。
人間よりずっと歴史の古いゴキブリが人間の害虫に変化していった過程は、人間が住居を作り、食料を備蓄する生活への変化が要因と考えられています。そして、ゴキブリが人間の害虫として世界的に生息域を拡大したのは、欧米諸国が世界に領土を求める大航海時代に、船や積み荷に潜んで世界各地へ広がったと言われています。
現在、地球上に生息するゴキブリの種類は3500種以上いるとされています。主な生息域は熱帯、亜熱帯地域で、これから考えても日本は生息域の一番北側にあたります。
日本でのゴキブリの種類と分布状況
現在日本では、9科5属52種7亜種が記録されております。縦長の国土を持つ日本の分布状況は、南西諸島が45種類とやはり圧倒的に多く、ついで九州23種類・四国11種類・本州17種類・北海道3種類・小笠原8種類の記録があります。
また、自然界でのゴキブリの生息場所は、落葉の下、樹木の根際、浅い土の中、倒木の下、などで植物の腐った所、樹液、朽木を餌として生活しています。それでも人間への害虫種の数はゴキブリ全体の1%程度しかいません。その中で特に害虫とされるものは世界共通の種類であるものが多いです。
現在、日本の主要害虫種はゴキブリ科のワモンゴキブリ・トビイロゴキブリ・クロゴキブリ・ヤマトゴキブリ・チャバネゴキブリ科チャバネゴキブリの5種類です。このうちヤマトゴキブリ以外は世界共通の害虫種であり、日本においても外来害虫種が圧倒的です。
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