
給水栓を開いて出てくる水道水は,すべて水道局等の水道事業体が責任をもってくれるものと思っている人が多いが,実は水道にもいろいろな種類がある。水を供給する対象となる人口(給水人口)の規模や供給先等により次のように分類されている。
水道事業:一般の需要に応じて水道により水を供給する事業をいう。
- 水道(事業)
- 給水人口が5001人以上の水道で、都道府県の水道局の水道や市営水道のように給水人口の多い水道をいう。
- 簡易水道
- 給水人口が101人以上5000以下の水道で,町営や村営等の水道に多い。
- 専用水道
- 寄宿舎,社宅,療養所,養老施設等の自家用の水道で101人以上の特定の人に供給する水道をいう。
- 簡易専用水道
- 水道事業者から供給を受ける水のみを水源とする水道で,受水槽の有効容量が10?を超えるものをいい,給水人口には関係ない。この種の水道は,ビル,マンション,アパート等に多く,責任はビル等の所有者,管理者になり,(1),(2),(3)の水道事業体では責任をもたない水道である。

貯水槽の汚染と浄化の特異性
貯水槽水の汚染原因には,次のようなものがある。
- 無機物質,有機物質等の化学物質による汚染、物理化学的汚泥の生成で,水道水の溶質や施設由来による沈降物ある。
- 病原細菌,ウイルス等の病原微生物による汚染。
- 藻類や鉄バクテリア等の給排水障害微生物による汚染。
貯水槽水の特性
天然水である河川水や海水と異なり,溜まり水であり,自浄作用はない。したがって,浄化手段としての貯水槽の清掃が衛生管理上重要である。
汚染経路
- 配管由来のものによる汚染
- 高置水槽周辺外部から混入するものによる汚染
- 細菌微生物学的スライム,結節の生成で,汚泥の大部分がこれであり,生物代謝による生成体である.貯水槽管理上最も重要である。
- 鉄バクテリアによるもの
- 一般細菌によるもの
- 真薗類によるもの
- 藻類によるもの
事故による汚泥発生
事故のうち,ねずみ(死骸)による汚染が著しい。
消毒剤の概要
飲料水の衛生管理の最重点事項は,病原菌や病原ウイルス等による水系感染症の予防である。水の消毒方法にはいろいろな方法があるが,我が国の水道法では,水道水について塩素消毒を義務づけており,常に残留塩素のあることが法的に定められている。その条件は,給水栓の末端水中に遊離残留塩素が0.1mg/L以上,または結合残留塩素が0.4mg/L以上あることと規定している。飲料水の消毒に適正のあるものは塩素・クロラミン・オゾン・二酸化塩素・紫外線の5種類があげられる。
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